いかにまとまりのない映画がダメなのかを証明した


「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」はエンターテイメント映画の名作だった。

アンチディズニーの私ですらその出来栄えに感動してしまったのを覚えている。

映像の迫力、セットの規模、俳優、音楽、すべてが申し分のないできだった。中でもとりわけ素晴らしかったのは、序盤からたくみにはられた伏線とそれを綺麗に使い切ったラストだろう。

見事に綺麗にまとまった映画だった。しかしこのデッドマンズチェストでは、なぜかその綺麗さの片鱗すらみあたらない。

典型的なグダグダムービーになってしまっている。

なぜだ?理由は簡単だ。2と3を一緒に続き物として製作したために、すべての結論を3にまわしてしまっているのだ。そのせいで何一つ解決のしない映画になってしまっているのだ。

上映時間は2時間50分もあるくせに、ジャックを始めとした登場人物たちはみな右往左往するばかりで一向に物語は進行しない。しかもこのデッドマンズチェストのラストでやっと序盤が終わった感じで、すべてはこれからで終わってしまう。まったく壮大なる予告編を見せられているようなものだ。そして3の公開は一年後ときている。まったくどうかしている。

結局この映画を観るのなら、一年後がベストだろう。3の公開日直前にDVDのレンタルでもして見てから、3にいくのが一番満足度が高いんじゃないんだろうか。


規模は前作以上だし、俳優陣は相変わらずいい感じなのだから、もっとざっくり切って2と3を合わせて3時間とすれば、きっと歴史に残るアクションエンターテイメントになったのではないだろうか。


ああ、まったくなんとももったいない話だ。



これは酷い

ジブリの絵がしっかり描けてるだけにそれをまとめる者の構成力の無さが浮き彫りにされてしまっている。

これだけ長くて何をやっているのかわからない映画を観るのは久しぶりだ。

登場人物たちの会話や行動が微妙にかみ合わないので、すべてが空回りしてしまって誰が何のために何をしているのかまるでわからない。主人公が誰なのかすら微妙だ。


さらには、監督の個性がまったくでていない。前にゴンゾの「銀色の髪のアギト」を見た時に、これは見事なまでに恥ずかしいジブリの劣化コピーだとあきれたものだが、今度は息子が親父のセルフコピーを作るとはまったくどうかしている。しかも宮崎駿の核たる部分はすべて受け継がず、表面ばかりをさらさらと撫でている感じで見ていて気持ち悪い。

唯一の個性といえば「命の大切さ」を訴えるメッセージ性であるが、これまた壊滅的なできだ。映画に伝えたい事があるのはいい、いやいいというよりは伝えたいことがないのであれば映画など作る必要はないのだが・・・。これはすべての映画にいえることだが、物語の中で自分がいいたいことや伝えたいことを登場人物達にべらべらとしゃべらせてしまったら、その物語はそこでもう終わりだ。麻薬撲滅を訴えるのに「麻薬をやめろ!」と叫び続けるようなものだ。なんの意味もない。

登場人物たちの行動や心理を通して、それに接した人たちに自然と伝わるように作るのが基本だろう。しかしこのゲド戦記では前編にわたって皆が声をそろえて「命を大切に」とぎゃーぎゃー騒ぐばかりで、いっこうに何も伝わってこない。

どうしようもない駄作だ。

まぁしかし吾郎を攻めることはできないだろう。どちらかというと素人にこれだけのものを任せたものの責任だ。具体的に言えば、宮崎駿の寡作ぶりに業を煮やして、息子に一本撮らせようと画策した鈴木プロデューサーにすべての責任があるのではなかろうか。

てめえのくだらない金儲けに一般人を巻き込むなボケェ!と言ってやりたい。


はてさて、ジブリという煌々と輝くシシ神も宮崎駿という首がなくなってしまったら、どろどろと溶けて滅びの道を歩むのだろうか・・・。




final

「着信アリ」を観てちょっと後悔。

こりずに「着信アリ2」を観て大後悔。

そして痛みに快感を覚えるようになって観に行ったこのファイナルですが、想像以上でした・・・。

これはもう観て損だとか得だとかじゃなくて、消費者センターに駆け込むレベルの映画です。少なくてもお金を取っていいしろものじゃありません。

ホラー映画を観にいったはずなのに韓流+電車男+大根の博覧会みせられたんじゃたまりません。

とりあえず脚本が酷い、いや酷いを通り越してエグイ。自分で作ったルールをどんどん壊しつつご都合主義全開で突き進んでいく物語に、電車男なゴースト退治が花を添え、ラストははやりの韓流ドラマ・・・。ほんとすごいよ、よくもここまで酷い寄せ集めをやったもんだ。飽きれも怒りも通り越して、真顔で「こんなモノ作って恥ずかしくないの?」と製作者に問いたいです。


一つだけおもしろかったのは、先生役の板尾の存在ですね。板尾先生なら平気で生徒のイジメを見逃しそうで適役でした。演技は大根の王様でしたけど・・・。


とりあえずこの気持ちを共有するためには、早く誰かにこの映画を転送せねば・・・。あぁ今思えばこの映画を私に超絶プッシュしたT君もすでにこの映画の呪いにかかっていたのでしょう。

恐ろしい映画だ。

転送セネバ・・・。

待ちに待ったエイブラムスの初メジャー監督作!

と言ってもピンと来る人は少ないはず、アメリカドラマの世界では知らぬ人のない時代の寵児JJ・エイブラムスさんですが、日本ではいまいちぱっとしません。

アメリカでは第6シーズンまで突入したドラマ「エイリアス-2重スパイの女-」も日本では第二シーズン以降ぜんぜんでる気配がないし、アメリカを熱狂の渦に巻き込んだ「LOST」もレンタルスタートしたばかり、とあっては仕方ないかもしれません。それにアルマゲドンの脚本家という暗い過去も持ち合わせているし・・・。

しかしかしこの地味で売れてない「エイリアス」が超おもしろいんです。

エイリアス-2重スパイの女-

詳細はこちらに書きましたが、MI3を観て気になった方は是非こちらもごらんになってみてください。はまること間違いなしです。


そんなこんなで待ち続けていた「MI3」ですが、私の評価はいうと☆ふたつ・・・。

悪くはなかったんです、いやエイリアスそっくりで期待をもたせるオープニングやサスペンスにいらないと判断したところはどんなデティールであれ切り捨てる男っぷりもよかったです。

テンポ第一主義なところも嫌いじゃないし・・・あれ?じゃぁやっぱりよかったのかな?と思ったのですが、やはりそうじゃない。

エイブラムス監督の大事なファクターのひとつが欠けていたんです。そう・・・反則すれすれというか、さらにその予想の斜め上をゆくキタコレ状態のどんでん返しがなかったんですよね。

ええ、エイブラムス監督なら途中からダコタ・ファニングで出てきてそこから宇宙戦争が始まるぐらいの展開があってもおかしくないのに、どうにもちゃんとしすぎてたんですよね。それがエイブラムスファンとして許せなかったのが、この映画を評価できない一番の原因です。


普通のデートムービーとしてはこっちのほうがいい映画なんでしょうけど、ああ、あのラストだけは許せない・・・。

さて、こういった穿った視点から見なければとても楽しめる映画だと思います。細かいところにつっこみをいれず、テンポで映画を見る人には文句なくオススメできますので、興味を持った方はどうぞ。




このブログでは現在公開中の「ココシリ」を命がけで応援しています。是非!


coco


2年待った・・・・

東京国際映画祭で観て以来待ち続けた「ココシリ」」がついに名古屋でも公開されます。

買ったもののまったく公開しないソニー・ピクチャーズに怨念を送り続ける2年間でしたが、やっと一般公開です。しかし宣伝のほうは現在公開中の「ダヴィンチ・コード」に集中してしまって、まったくされていないのが現状です。

こんなにもったいないことはない。

ダヴィンチみたいな鳥にも獣にもなれない蝙蝠のような映画はどうでもいいから、もっと「ココシリ」を宣伝しんかい!

「ココシリ」は間違いなくここ数年で最高の映画なので、是非観てもらいたいです。

二年前の東京国際映画祭の「ココシリ」レポート

自然を守るために闘う人間が自然に襲われるという矛盾。

何のために守るのか、何のために殺すのか、何のために生きるのか。

人間の生き様を描いた超力作です。

これこそ映画という一本。是非とも映画館で観てもらいたい!


名古屋では6月24日からシネマスコーレで公開です。